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■ルネッサンス
15世紀初頭、イタリヤの人々は自分達が保持してきた伝統に再び目を向け、これを発展させようとしました。
ヨーロッパルネッサンスはこのイタリヤルネッサンスを汲んだもので、服装史上でも近世世界が展開される時です。初期の服装は勿論イタリアで生まれ、ゴシックの影響も非常に弱い形であらわれ、リーパイプのついたターバンも見られますが、これも次第に垂れ布のとれたものになっています。
婦人の髪型は、ローマ時代の髪型のように髪の美しさをそのまま見せる傾向があり、長い髪をウェーブやカール、あるいはロール状にセットしました。帽子はキャロット(calotte)やコイフ(coif)のように大へん小さいもので、シルクや金、銀糸入りプロケード、ベルベット、サテン、ゴーズなどで作りました。
コール(caul)は装飾として髪を包んだもので、金糸やパールで編まれたかぶり網ですが一般婦人の普段着は、頭をベールでつつむ、薄い布と一緒に髪を編む、白リネンのボンネットをかぶるといったものです。男子帽は一般に小型で、装飾はなしか、ある場合でもたいへん少なく地味です。

ビレツタ(biretta)
トップクラウンが三つ、または四つに放射状に区切られたような四角いトーク型の帽子で僧侶や大学教授が職務上用いました。
僧侶のビレツタは階級によって色が区別されました。

ボンネット(bonnet)
ベルベットあるいはフェルト製で、現代の水兵帽の形をした帽子。
王や高官は宝石のブローチなどを飾りました。
ベレ(beret)
ベルベット製。現代のベレー帽型のほかに、お皿のような浅い型や小さいブリムのついたものもありますが、飾りは金のコードや宝石が僅かに用いられる程度です。

イクリヤルネッサンスは十六世紀ヨーロッパ諸国に大きい影響を及ばしました。十六世紀は、前半ドイツモードが目立った特徴を示し、後半はスペインが世界最大の富を得るとともに、モード界をもリードしました。

ドイツモードは「二枚の布を重ねあわせてできる色彩のコントラスト」をねらったもので、十五世紀から十六世紀にかけてイギリスやフランスの婦人の用いた頭布に、その意図がうかがわれます。

表地に黒のベルベット、裏地は白リネン製、ブロケードとローンの組合わせ、そして肩に垂れた部分にスリットのはいったものなどです。 エスコフィヨン(escoffion)とダッチコイフ(dutchcoif)も特色あるもので、素材はいずれも白のローンやシルクで、ターバン型やボンネ型のそれぞれの土台に金糸やパール、リボン、コードなどが縫いとりされている大きな帽子です。

ビレツタ
男性のビレツタをまねたものでシルクやフェルト製。

ベレー
ベルベット製がほとんどで、周囲にスラッシュの入ったものもあります。

コルン(corne)
宝石、パール、金のコードをたくさん刺繍した先の尖ったキャッイノ。
スパニッシュトーク
ギャザーでふくれたクラウンに、狭いブリムのついた型。ベルベット製。

広巾ブリムの帽子
ストロー、シルク、ベルベット、ビーバー製で外出用。

どの帽子にも共通していることは、金のコードや宝石、あるいはオーストリッチの羽根が必ずといってよいほど飾られていることです。後頭部の髪をネット (コール)で包み、その上にそれらの帽子をかぶりました。

メリー・スチュアート・キャップ
bograceのともよばれる額に尖りのでたハンカチーフのようなかぶりもので、エリザベス時代にイギリスで多く用いられました。ベルベット、レース、シルクなどにパールを飾ったり縁飾りしたものがあります。
フーク(huke)
11世紀、アフリカからヨーロッパに伝わったマントのようなフード。前頭部が三角に突きでたものもありコイフやネットをかぶった上にかぶりました。

男子帽では、ベルベットやフェルトの大きなベレーが初期のものより大型となリ、パールや宝石、オーストリッチの羽根飾りがたくさんつくようになりました。当時、最も多くあらわれている種類です。

フラットキャップ(flatcap)
16世紀後半、イギリスから始まった商人など一般市民の用いたブリムのついた帽子。ウール地、フェルト、毛糸編み製があります。
スパニッシュトーク
婦人物とまったく同じハイクラウンにブリムつきのトーク。斜めにかぶることが流行でした。
フェルト帽とビーバーハット=・ブリムの広いものもあり、全般にハイクラウン。

どの帽子にも共通していることは、金のコードや宝石、あるいはオーストリッチの羽根が必ずといってよいほど飾られていることです。後頭部の髪をネット(コール)で包み、その上にそれらの帽子をかぶりました。

以上のように、十六世紀ルネッサンスモードにはたくさんの種類のかぶりものや帽子がみられます。ドレスの布地の立派さと色彩の美しさのために、ことに後期スペインモードの張り拡げたスカートや大きなひだ衿は、帽子の陰をうすくしていますが、各地方においてうまれたスタイルがたがいにいりまじってさまざまな帽子がかぶられたのです。


頭にネットをかけた
イタリア人
長い髪に薄い布のコイフとシルクリボンを止めたイタリアの若い婦人。 16世紀末期のフランス婦人。
やわらかいクラウンと広いブリムの美しい帽子。

1519年のドイツでかぶられていたビロードのベレー帽。 16世紀のイギリス婦人。
ビーバーの毛皮でつくった帽子にシルクのバンドとダチョウの羽根で飾り、髪をおおうかぶり網がついている。

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